ポポの雑記

徒然なるままに身の回りのことを書き綴ります

【書評】魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜

インスタグラムでよく広告に出てくる漫画、「魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜」を読んだ。

 読もうと思った理由は二つ。
・インスタグラムに広告が流れてくる「俺TUEEE系転生漫画」はいくつかあるが、広告が悪いだけで実際は普通に面白いのではないかと期待したこと
・インスタグラムのコメント欄にも、批判コメントだけでなく面白いという意見も少しみられたこと

 上記の理由から、俺TUEEE系漫画を食わず嫌いせず、物は試しに試食してみようと思った次第。

 

結論としては、全体的に個性がないベタな転生系で、つまらなかった。Re:ゼロなど設定が練られた転生系を経験した後だと、なおさら稚拙に感じる。漫画の飛ばし読みはなかなかしないが、2巻と3巻は飛ばし飛ばし読んでしまった。

以下では、具体的にマイナスだと思う点4つと、逆にプラスだと感じた点1つを挙げようと思う。

マイナス評価 

タイトルが長い

まず最初に思ったのは、タイトルが異様に長いということ。句読点や「〜」も含めると36文字ある。なろう系の漫画はこういう名前が多くて、どことなく胡散臭さを感じてしまう。「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」という作品も観たことがあるが、痛いのは嫌だと言う割にタイトルが痛々しくて可哀想だと思った。

ただ、タイトルが長いのが必ずしも悪いのかというとそうではなく、例えば「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は20文字あるが、良作として有名だ。当時はまだ長いタイトルに馴染みがなく、文章チックなタイトルにどんな作品なのか気になった記憶がある。タイトルが作品に付加価値を与えている好例だと思う。

結論、長いタイトルはそれ自体がダメというわけではないが、最近雨後の筍のごとく作成されているなろう系のタイトルには、オタクの内輪ウケ的な寒さを感じてしまうのである。

使い古された俺TUEEEネタである

内容についてはこれに尽きる。広告を見た時点で誰もが思うこと。端的に言えば、「転生チートネタはもう飽きた」ということ。転生チートネタ自体の面白い・つまらないは置いておくとして、この手のネタはもう使い古されてしまった。

よくある転生チートネタでは、平凡な人間が最強の能力を持って異世界転生して夢想無双することが多いが、本作では転生前も最強、転生後はもっと最強である。おそらく最強とは程遠いであろう私含めた読者層に、果たして訴求するのだろうか。

設定や主人公が全体的に痛い

他の転生ものをあまり読んだことがないが、ストーリーが全体的に痛い。そして安っぽい。

本作の概要は以下の通り。

最強の魔王が2000年の時を経て転生し、魔族の学校に入学する。純血の魔貴族が調子に乗ってるなか、混血に転生してしまったことや能力が規定外であることなどから不適合者扱いされるが、本当は最強の魔王なので貴族も強キャラも危なげなくぶっ倒す。チートスキルで学校の課題も楽勝。そして、美少女2人に懐かれる。

漫画を3巻まで読んで勝手にまとめたが、何だかとても香ばしい匂いがする。この魔王が、「この程度で俺が死ぬと思ったか」とか、「心臓を刺したくらいで俺が死ぬと思ったか」とか、挙げ句の果てには「殺したくらいで俺が死ぬと思ったか」とか言ってしまう。

行動にしても、言葉だけで相手を制圧したり(覇気?)、デコピンで相手をぶっ飛ばしたり、下級魔法で相手の最上位魔法を打ち消したり、挙げ句の果てには片手で城をぶん回して投げたりしてしまう。ワンパンマンと似たような薄寒さを感じた。

それに加えて、ヒロインとの絡みを中心とした感動パートが弱い。2-3巻にかけてヒロイン2人との絡みで感動を狙ってくるパートがあるが、書き込みが弱いし分かりづらい。ありきたりな感動設定を適当に盛り込んでいる感が否めず、読者側としては特段感慨が湧かない。  

単調な痛い展開を只々繰り返す

そして極め付けは、ありきたりなチート設定と薄い感動パートを何回も繰り返すこと。最強魔王は(あくまで3巻時点で)どこに行っても誰と戦っても最強で、ピンチが訪れたかと思ってもやはり最強。最終的にはほぼワンパンで倒す。ワンパンマンもそうだが、最終的にはワンパンで倒すんでしょって思うと、戦闘シーン全飛ばしするくらいには冷める。 

プラス評価

以上のように、個人的には全然刺さらなかった本作だが、良い点も一つ挙げておこうと思う。 

主人公が危なげなく勝つ様が爽快

ポジティブに解釈をすれば、主人公が最強なのでどんなに調子に乗った相手でもスムーズに勝利する様を、見ていて爽快に感じる人がいるかもしれない。Re:ゼロのスバル君が何度も死んでは生き返り状況を打開するのとは異なり、全て一発ストレートで解決してくれるので、頭を使わずにのんびり眺めていられる。

総評:時間をかけてまで読まなくてもいい

いくつかポイントを挙げたが、改めて結論をまとめるとすると、「時間をかけてまで読まなくていい」作品だと思った。今回、「インスタグラムの広告はつまらなそうだが実際は面白いのではないか」という期待感を持って読んだものの、広告の内容が全てだという残念な結果となった。今後も、面白そう(?)な漫画があれば都度読んでいこうと思う。